AN-V-199
2024-06
金めっき浴中の金(Au(I))のボルタンメトリーによる定量
Gold plating bath analysis with the Multi-Mode Electrode pro
概要
金属めっき産業において、特に金の電解めっき工程では、金めっき浴中の一価の金(Au(I))濃度を正確に管理・測定することが極めて重要です。これは、高品質で均一な金のめっき膜を得るためだけでなく、めっき工程の効率化およびコスト最適化にも大きく寄与します。
一価の金(Au(I))から金属の金への還元は比較的容易かつ効率的であり、金1モルの析出につき1単位の電気量で済みます。しかしながら、金めっき浴中に三価の金(Au(III))が生成・蓄積すると、電流効率が著しく低下します。これは、Au(III) を金属の金に還元するにはモルあたり3単位の電気量を要するためです。Au(I) の割合が低くなると、電力と金の使用効率が悪化し、プロセスのコストが増加するとともに、持続可能性も低下します。
" Multi-Mode Electrode Pro " を用いたボルタンメトリー分析は、極めて有効な手法として注目されています。この分析方法は、煩雑で時間のかかるサンプルの前処理を必要とせず、シアン化浴および亜硫酸塩浴の両方において、一価の金(Au(I))を直接かつ簡便に定量することが可能です。
サンプル
・ シアン化金めっき浴
・ 亜硫酸塩金めっき浴
分析・測定
図 1.
884 Professional VA manual for MME
測定容器に電解質溶液を加え、5分間脱気します。次に、金めっき浴のサンプルを添加します。測定は、表1に示されたパラメータに従って行います。測定には、図1に示す " 884 Professional VA manual for MME " を使用し、2種類の一価金(Au(I))標準溶液を用いて行います。
パラメータ | 設定 |
---|---|
モード | DME |
開始電位 | -0.9 V |
終了電位 | -1.75 V |
掃引速度 | 15 mV/s |
Au(I)のピーク電位 | -1.45 V |
電極
- Multi-Mode Electrode pro