セタン指数(ASTM D613)、引火点(ASTMD56)、CFPP:コールドフィルタープラグポイント(ASTM D6371)、D95 (ISO 3405)、および40 ℃ 粘度(ISO 3104)は、ディーゼルオイルの品質を決定する主要な測定項目です。これらの各種試験方法はそれぞれに異なる分析手法で測定する必要があるため、その分析労力は品質管理を行うにあたり非常に大きな負荷となります。
このアプリケーションノートではXDSラピッドリキッドアナライザーを用いて、可視及び近赤外(Vis-NIR)領域を測定することにより、ディーゼルオイル中の各種重要測定項目を迅速に簡便に精度良く同時分析できることを報告します。このコスト効率の良い可視-近赤外(Vis-NIR)分析法を用いることで、サンプル前処理をせずに、化学試薬も使用せずに、ディーゼルオイルの同時多項目分析が1分以内で可能となります。
XDSラピドリキッドアナライザー(RLA)を用いて、全波長域(400~2500nm)にわたり、透過測定モードにてディーゼルオイルサンプルを測定しました。温度制御サンプル試料室を30℃に設定し、温度調整した状態でサンプル測定を行いました。サンプル洗浄の手順を簡素化するために8mm光路長の使い捨てガラスバイアルを使用して測定を行いました。メトローム社Vision Airコンプリートソフトウェアを用いて、NIRスペクトル測定と検量線予測モデル計算を行いました。
| 装置 | メトローム 製品番号 |
|---|---|
| XDS RapidLiquid Analyzer | 2.921.1410 |
| Disposable vials, 8 mm diameter, transmission | 6.7402.000 |
| Vision Air 2.0 Complete | 6.6072.208 |
測定されたVis-NIRスペクトル(図2)を用いて、ディーゼルオイルの主要測定項目の検量線予測モデルを作成しました。各種検量線予測モデルの精度は、NIR予測値と従来分析値の相関図と各種統計値(FOM)を用いて評価を行いました。
Result cetane index
| 統計値 | 数値 |
|---|---|
| R2(寄与率) | 0.991 |
| 検量線における標準誤差(SEC) | 0.093 |
| 交差検定の標準誤差(SECV) | 0.143 |
Result flash point
| 性能指数 | 数値 |
|---|---|
| R2(寄与率) | 0.977 |
| 検量線における標準誤差(SEC) | 2.22 °C |
| 交差検定の標準誤差(SECV) | 2.50 °C |
Result CFPP
| 統計値 | 数値 |
|---|---|
| R2(寄与率) | 0.973 |
| 検量線における標準誤差(SEC) | 1.99 °C |
| 交差検定の標準誤差(SECV) | 2.24 °C |
Result D95
| 統計値 | 数値 |
|---|---|
| R2(寄与率) | 0.861 |
| 検量線における標準誤差(SEC) | 3.07 °C |
| 交差検定の標準誤差(SECV) | 3.47 °C |
Result viscosity
| 統計値 | Value |
|---|---|
| R2(寄与率) | 0.983 |
| 検量線における標準誤差(SEC) | 0.038 cSt |
| 交差検定の標準誤差(SECV) | 0.047 cSt |
本研究は、ディーゼル試料の主要パラメータの分析のためのNIR分光法の実現可能性を実証しました。標準的な方法と比較して、試料調製は不要です。
試料はそのまま分析されるため、NIR分光法を用いる場合には簡単な操作が可能になります。
すべての主要パラメータの情報を表示し、最新の情報を取得するには、メトロームのプリキャリブレーション情を確認してください。