ビートなどの原料からの砂糖生産は増加傾向にあります。最近の報告によると、改良された作物品種、高度な収穫技術、および特定地域での栽培面積の拡大により、ビート糖の生産量が増加しており、特に米国では現在、ビート糖生産が過去最高水準に達しています[1]。
ビート糖は主にショ糖から構成されていますが、天然に存在する亜硫酸塩化合物を含むこともあります。これらの化合物は通常微量で、ビート自体のさまざまな部位に由来します。天然に存在する亜硫酸塩の量や分布を把握することは、健康への潜在的影響を評価するとともに、食品安全規制の遵守を確保するうえで重要です。
亜硫酸塩の測定に関して知られている手法は、大量のサンプルを用いたよう素滴定法であり、可視指示薬としてデンプン溶液が使用されます。正確に実施するには、経験豊富な分析技術者が必要です。
本アプリケーションノートでは、Pt ティトロードを電極として用い、ヨウ素による酸化還元滴定により、ビート結晶糖中の低濃度亜硫酸塩を電位差自動滴定する分析手法を説明いたします。
サンプルの前処理は不要です。.
最初に、0.005 mol/L チオ硫酸溶液を 0.005 mol/L 二クロム酸カリウム標準液に対して滴定を行い、チオ硫酸濃度を標定します。
次に、0.004 mol/L のヨウ素滴定溶液を 0.005 mol/L のチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し、ヨウ素濃度濃度を標定します。
最後に、250 mL ビーカーにビート糖 50.0 g を加え、これに 150 mL の純水および 5 mL の 1 mol/L 塩酸を添加、ヨウ素滴定溶液を加えていき、Pt ティトロードにより最初の滴定終点が検出されるまで滴定を行います(図1)。
| No. (n = 5) | 平均値 Mean value [mg/L] |
標準偏差 s(abs) [ mg/L ] |
変動係数 s(rel) [ % ] |
|---|---|---|---|
| 1 | 2.7 | 0.07 | 2.6 |
電位差自動滴定により、ビート結晶糖中の亜硫酸塩の測定を完全に自動化することが可能でした。
過滴定を避けるため、滴定速度は遅く設定し、最大添加量は 30 µL に制限する必要があります。
OMNIS を用いれば、ビート糖の化学分析をこれまでになく容易に実施できます。
- U.S. Department of Agriculture. Sugar and Sweeteners - Background. USDA Economic Research Service. https://www.ers.usda.gov/topics/crops/sugar-and-sweeteners/background (accessed 2025-08-20).