元の言語のページへ戻りました

地下水は、降水を起源として、土壌を通過・ろ過する過程でさまざまな鉱物を溶解しながら自然と地下に溜まっていきます。一般的に、地下水は飲料水や灌漑用水の供給源として利用されています。

雨や雪は、埋立地からナトリウム塩などのさまざまな物質を地下水中に浸出させることがあります。このいわゆる浸出液は環境に有害とされており、地下水資源を汚染する可能性があります。

本アプリケーションノートでは、ナトリウム選択性電極(Na-ISE)を用いた水(ミネラルウォーターおよび浸出液)のナトリウム分析について説明します。本アプリケーションのすべてのサンプルは標準添加法により測定しました。本法は、標準的なAOAC 976.25 法に基づいています。

標準添加法(STDADD)は、不明成分を含む複雑なサンプルマトリックスに対して推奨されます。標準添加法では、対象イオンの既知の濃度の標準溶液を既知のサンプル量に複数回に分けて添加します。サンプルと標準溶液を添加したサンプル間の電位差から、未知の濃度を算出します。この計算は、最新のイオンメーターやOMNISなどのソフトウェアによって自動的に行われます。

測定はミネラルウォーターおよび浸出液を対象に実施します。

サンプルの前処理は不要です。

図 1. ナトリウム測定のためのナトリウムイオン選択性電極(Na-ISE)を備えたOMNIS Advanced 滴定装置 および OMNIS ドージングモジュール

水サンプルのナトリウム測定には、Na選択性電極を搭載したOMNIS Advanced 滴定装置 および OMNIS ドージングモジュールを使用しました(図 1)。

適量のサンプルに対して、CaCl₂濃度1 mol/Lのイオン強度調整剤(ISA)溶液が自動的に添加され、ナトリウム標準溶液(Na⁺濃度200 mg/Lまたは2000 mg/L)を用いて標準添加法が実施されます。ミネラルウォーターについては、サンプルのナトリウム濃度が50 mg/L未満である場合にはISA添加は不要なため、ISAを添加せずに測定します。

標準添加法は、表1に示すように変動係数(SD(rel))が2.0%未満で正確かつ再現性の高い測定結果を示しました。標準添加法の例は図2に示しています。

表 1. 標準添加法によるミネラルウォーターおよび浸出液のナトリウム測定結果
サンプル (n = 6) 平均値 標準偏差SD(abs) 変動係数
SD(rel) in %
ミネラルウォーター 5.08 mg/L  0.00 mg/L 0.1
浸出液 151.1 mg/kg 0.4 mg/kg 0.3
図 2. 200 mg/Lのナトリウム標準溶液を用いて、ミネラルウォーターに対して4回の標準添加を行いました。

ナトリウムイオン選択性電極(Na-ISE)を用いた水のナトリウム測定結果は、迅速で再現性が高く、かつ正確です。原理的には、本手法はさまざまなナトリウム濃度を有するあらゆる種類の廃水や下水に適用可能です。測定の前には、適切な希釈やろ過、遠心分離などの前処理が必要となる場合があります。

Na選択性イオン電極(Na-ISE)の取り扱いは容易であり、電極の調整(コンディショニング)は不要なためすぐに使用可能です。さらに、本手法はAOAC 976.25に準拠しています。

本アプリケーションで紹介する測定システムは、高度なソフトウェアと組み合わせた柔軟性をユーザーに提供します。分離型ポリマー製Na選択性イオン電極(Na-ISE)の測定範囲は5 × 10⁻⁶ mol/Lから1 mol/LのNa⁺(約0.11 mg/LのNa⁺に相当)であり、食品から医薬品、化粧品まで幅広い試料に適用可能です。

ナトリウム測定の精度と速度を向上させるだけでなく、OMNISは他の確立された滴定システムと同等かそれ以上の測定結果を提供します。

お問い合わせ

メトロームジャパン株式会社

143-0006 東京都大田区平和島6-1-1
東京流通センター アネックス9階

お問い合わせ