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AN-T-112

2020-05

自動滴定装置を食用油の酸度および遊離脂肪酸の完全自動測定

Fully automated determination according to the current EN ISO, Ph. Eur, and USP standards


概要

酸価および遊離脂肪酸含有量は、食用油脂の特性評価および品質評価において重要なパラメーターです。さらに、遊離脂肪酸の含有量は純度試験にも用いられ、場合によっては前処理や分解反応の有無についての推定が可能です。酸価および遊離脂肪酸含有量が高いほど、油の品質は低下します。また、油が古くなるにつれてトリグリセリドが脂肪酸とグリセロールに分解されるため、酸価は時間の経過とともに増加します。

本アプリケーションノートでは、さまざまな食用油における酸価および遊離脂肪酸含有量の滴定による測定法について説明します。この方法は、EN ISO 660、USP<401>、および Ph. Eur. 2.5.1 に準拠しています。DIS-Cover 技術を用いることで、すべての試料前処理工程を完全に自動化でき、オペレーターの貴重な時間を節約し、ラボでの生産性を向上させることが可能です。

動画で詳しく解説しています:

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装置構成


サンプルとサンプル前処理

この方法は、さまざまな食用油(キャノーラ(菜種)油、パーム油、ひまわり油、オリーブ油)に対して検証しています。すべての試料について、試料前処理は不要です。


実験

Fully automated OMNIS system for the determination of acid value in edible oils.
図1. 食用油の酸価測定向けに完全自動化させたOMNIS システム

この分析は、dSolvotrode電極 を備えた Dis-Cover機能搭載の OMNIS Sample Robot S と OMNIS Advanced Titrator から構成される自動システムで実施されます。

適量の試料に対して、エタノールとジエチルエーテルからなる溶媒混合液が自動的に添加され、試料を溶解するために1分間撹拌されます。その後、標準化されたエタノール中の水酸化カリウム(KOH)で当量点を越えるまで滴定が行われます。


結果

この分析では、許容範囲内の結果と明確な滴定曲線が得られています。相対標準偏差(SD(rel))は最大で5.3%とやや高めですが、これは絶対標準偏差(SD(abs))に換算すると、ひまわり油で約8.5 µg KOH/g、キャノーラ油で約4.4 µg KOH/g に相当します。結果は表1に掲載されています。

表1. 自動化された OMNIS システムによって測定された食用油の平均酸価および遊離脂肪酸(キャノーラ油、オリーブ油、ひまわり油はオレイン酸として、パーム油はパルミチン酸として換算)(n = 5)
  酸価(KOH/g) 遊離脂肪酸(%) SD(rel) %
キャノーラ油 0.11 0.05 4.0
オリーブ油 0.41 0.21 2.0-
パーム油 11.6 5.3 0.2
ひまわり油 0.16 0.08 5.3

結論

滴定は、さまざまな国際規格に基づいて、さまざまな食用油の酸価および遊離脂肪酸を測定するための、精度が高く信頼性のある方法です。

Dis-Cover 機能を備えた OMNIS Sample Robot を使用することで、最大4検体までの測定を並行して完全自動化でき、オペレーターの貴重な時間を節約し、ラボの生産性を向上させることが可能です。OMNIS システムは、用途に応じて柔軟にカスタマイズでき、過酸化物価やヨウ素価など、食用油に関する他の滴定アプリケーションにも拡張することができます。

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メトロームジャパン株式会社

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